親父のした教育

日記に書いた幾何のパズルから、親父のことを思い起こした。


親父が、実際に小学校の時にこの問題を解いたのはうそじゃないらしい。親父は戦争やいろいろあって、中学もろくに出ていない。それで勉強はというと、学校でやるのはおまけで、家でやる勉強の方が本格的だった。小学校の時に、中学、さらには高校のレベルの勉強まで家でやっていたという話である。昔の良家って、英才教育が行われていたというけれど、その一つの例だったんだと思う。
私は小学校の時は遊び呆けていたが、このままじゃ阿呆になるということで、中学の勉強から親父が見てくれていた。親父に言わせれば、勉強は親が見るのが当たり前とのことで、特に数学については解るまでたたき込まれた。おかげで塾に行く必要はまったくなかった。
その親父も私が高校に上がるとさすがにつらくなり、勉強は見なくなったけど、口癖は「いい大学に行け。そうしたらもっとすごいこと教えてもらえるぞ。おれは行けなかったけどなあ」だった。

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いろいろあってと書いたのは、実は実家の倒産のことである。
家が一文無しになってしまった親父はみんなが高校に行っているときから働き、20歳そこそこで、それまでにためた資金で鉄工所を立ち上げることになる。こうして今考えると、中学も卒業していない人間がゼロから何かを築き上げることができたのは幼少期から叩き込まれた教育の力があったからだと思う。特に数学の力があるかないかは、鉄工所の経営にとって死活問題だ。受験でいい大学に受かるかどうかという次元の話ではない。昔の人は、我が子に社会という荒波で生きるためのすべとして、教育をしていたのだと感心する。
地位、名誉、財産は時にして失う可能性がある。が、しかし、本当に身についた教育は誰もその人から奪うことはできない。

エピソードはもう一つある。私は無事大学に合格できた。両親の喜びようは喩えようもなかった。けれど、機械工学ではなく当時無名だった情報工学を選んだ。周囲からは鉄工所をなぜ継がないのかと言われたが、当の親父は何も言わなかった。口では「お前みたいな軟弱ものに厳しい鉄工所は勤まらん」と言っていたが、裏には「もう鉄鋼業の時代じゃない、新しいことをやる方がいい」という今に執われない本心があった。私は親父の言った通り、大学ですばらしい勉強と経験をすることができた。

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こんな話は10年ほど前にやっても、時代が違ったんだと昔話扱いにされるだけだった。当の自分も、小さいときから聞いていた親父の苦労話(そして、大半は自慢話)に辟易としていた。けれど、これからの若者にはもう安定した安寧な社会は待っていない。ググって得られる表層の知識の寄せ集めじゃなんとも歯が立たないことになるだろう。教育について、原点に戻って考え直す必要がある。まず言えることは、親と社会が、こと教育については、次の世代に対して責任的立場にあることを自覚することである。いい大学に受かる、そして収入のいい安定した職業につくという視点ではなく、次の時代を乗り切るための知恵と知識と胆力を子供たちに与えるためにはどうすればいいか、まずは自問する必要がある。

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こんな親父も80歳半ばとなった。相変わらず、会うとお互い悪態をつく。自分ではもう死ぬ死ぬと言いながら、頭脳は明晰で、体も健康そのものだ。自己を律するという昔の教育の現れじゃないかと思う。これは見習って、いつまでも(口うるさい)現役シニアプログラマをしていたいと思う。

幾何の問題2

グレー部分の面積を求めよ。
前の問題の続きで、今度は高校3年の数学の知識が要ります。一つ前の問題が解けるとアプローチは同じなので、意外にとっつきやすいはずと思います。
計算の結果はこんな値になります。
24.043478844932874196852259650585

解法は、落ち着いた時にでも。

Snow Leopard

周囲で評判の雪豹。微妙な違いについてはこの辺の記事が参考になりました。まだ、インストールはしませんが...

アプリじゃなく、windowの切り替え

Macでは、cmd-tabでアプリ切り替えしかできません。けれど、FireFoxのように複数windowをその単位で切り替えたいときには困ります。
探した結果、Witchというtoolがありました。

幾何の問題


グレーの部分の面積を求めよ。中学の数学の知識だけで解けるはずです。

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自分でも解いてみました。尚、一辺の長さはaとします。

の部分の面積zは、正三角形と1/12円弧を足した形から1/6円弧を引いた形になるため、
z = (\pi / 12 + \sqrt 3 / 4 - \pi / 6) a^2 = (\sqrt 3 / 4 - \pi / 12) a^2

の斜線部の4倍が求める面積なので、(この時、斜線部以外の部分がzと面積が同じであることに着目して)答えは次のようになる。
4 (1/4a^2 - z) = a^2 - 4z = (1 + \pi / 3 - \sqrt 3) a^2

おしまい。

探索木再考

Twitterでのつぶやき。きっかけは某大学生のつぶやき。

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  • はいな。探索アルゴリズムをDHT上に載っける研究はいっぱいあります。範囲探索も一時はそうでした。RT: @frsyuki: Distributed Suffix Tree for Peer-to-Peer search : http://bit.ly/BVdzZ
  • 探索木とアルゴリズムの研究は過去にずいぶんなされているが、そのすべてをP2Pに応用できるとは限らない。計算コストが同じでも、AVL木のように複雑な部分木の付け替え処理があると向かない。P2Pの立場から、過去の研究を見るとまた別の改良点が見えてくる。
  • DHT が画期的だったのは、探索木の構造をP2Pの世界に展開したこと。つまり、ネットワーク全体を探索可能な空間にするきっかけを作った。Skip Graphが画期的だったのは、一様性が必要だったDHT空間から、その制約をはずして範囲探索や近傍探索を可能にしたこと。
  • AVL木を構造化オーバレイに応用した例に、BATONがある。けれど、こちらは平衡化のrotate処理のコストが問題になったみたい。B-treeについては、Skip B-treeがあるけど、こちらはSkip Graphの延長なので、試されたとは言えない。
  • DHTではIDがランダムなので、木の平衡化は要らないけど、範囲探索はできない。Skip GraphはSkip listの平衡化にゆだねているので、key値がランダムである必要はなく、範囲探索もできる。じゃ、他はないのか。
  • Chordは、2分木を自ノードを中心とする距離を元に構成。Pastryは、n分木をIDのdigitに従って構成。Skip Graphは、2分木を確率を元に構成。
  • 木を使った探索アルゴリズムについて再勉強なう。DHTにせよ、Skip Graphにせよ。やり尽くされてない気がしてきた。